SteamlineのShay2014年12月26日 10:11

 SteamlineというのはTom Cooperが16mmスケールでライブスチームを広めた草分け的なメーカです。のちのMerlinなのだと理解していますが、何故名前が変わったのかはわかりません。そのSteamlineの初期の意欲作がこのShayです。自社のオスモータというエンジンユニットを使用していますが、なによりも斬新なのは、大量の煙を吐き出すためのスモークジェネレータ(発煙装置)を装備していたことでした。この装置は、現在に至るまで他の機関車では使われていません(それよりも石炭焚きにした方が簡単)。ということは、あまり芳しくなかったということです。
 1枚めの写真は、2011年3月6日頃からここで取り上げた機関車で、動画もアップしていますが、結局このときは発煙装置の仕組みが今ひとつ理解できず、それを取り外しての運転に漕ぎ着けました。ネットで探しても、発煙を諦めて走らせている人ばかりだったのです。
 もう1機、この機関車のpart builtを持っています。これも発煙装置はありません。この状態で走ることだけを確かめた、といった段階のものでしょう。写真にはありませんが、キャブもあります。
 今回は、パーツのフルセットを入手しました。特に、発煙装置の仕組みがわかるドキュメントが残っていたことが大きく、ようやく全貌が掴めました。下の写真では、煙室から伸びているパイプが中央に写っています。この機関車は、ガスの排気は煙突から行わず、煙突は発煙のためだけに使われています。ちなみに、左の灰色がガスタンク。右の四角いのが発煙オイルタンク。右下の円筒は、オイルのドレンタンクです。
 キットは、エッチング板や、各種棒材(金属や木材)、ネジ、などで構成されていて、膨大な量に及びます。作り甲斐のあるキットです。それでも、エンジンとボイラは完成済みで、しかも燃焼・運転のテストをして出荷したとあります。
 発煙装置は、配管が複雑です。ボイラの圧をタンクにもかけ、オイルを絞り出します。これをエンジンからの排気に混ぜ、そのあと煙管を通して加熱した上で、煙突下のタンクに導きます。このタンクも加熱されているため、煙突の上から煙となって吹き出します。煙突の上には、バルブやジェットノズルがあります。また、この煙突下タンクに溜まったドレンを出すための配管とタンクがあります。つまり、見せかけの「発煙」のためだけに、バルブが3つあり、タンクも3つ必要です。ネットで調べたところ、パワーの半分は発煙のために消費される、とあったほどです。
 古いSteamline誌(雑誌も出していたのです)には、この機関車が、煙を吹き上げるシーンの写真があります。煙突から、逆円錐状に高さ1.5mほども真っ白の煙を吹き上げる、と記されていました。スチームボート用のSaitoエンジンの発煙とは、だいぶ煙の量が違います。模型飛行機(アクロバット機など)の発煙装置はけっこうな量の煙が出ますが、ポンプや熱量の違いでしょう。機構的にも、こちらに近いといえます。
 製品として売られていたわけですから、誰にも実現ができた仕組みであるはずです。今回は、発煙装置の稼働をメインに取り組みたいと思います。