欠伸軽便鉄道通信 132023年12月31日 06:00

除雪車と除葉車(連載第13回)

 欠伸軽便鉄道は、一年中ほぼ毎日運行しています。ここは雨が少なく、年間を通して晴天が非常に多い地域です。夏は25℃以上になることはほぼありません。冬は氷点下15℃になる日もあり、特に2月は気温がプラスにならない月と認識されています。
 雪が降る日は一冬に3日程度ですが、一度降ると長期間とけません。1月以降に降った雪が、4月まで残ります。
 それでも、庭園鉄道は運行します(写真1)。そのためには、除雪車が必要となります(図1)。実は、秋の落葉の季節に、線路上の落葉を除去する専用車(除葉車)も在籍しています(図2、3、写真2、3)。除雪も、積雪5cm以下の粉雪ならば、ブロア車で充分に役目を果たします。
 道路や駐車場などで使う簡易な除雪機を改造したものが2両あります(写真4)。鉄道の台車を取り付け、線路を走るようにしただけで、後ろから機関車に押してもらいます。線路上に水分があると凍ってしまい、機関車がスリップすることがあり、これが悩みの種です。
 わざわざ除雪車を出動させるほどもない場合や、逆に、除雪車では対応できないほど積雪が多い場合に、プラスティックのスコップで除雪を行う人力ラッセル車があります(図4)。これを行うのは、社長の僕です(鉄道のスタッフは1人しかいませんので)。
 こうして、常に線路を露出させ、太陽に当てておくことが大事です。毎日運行するためには、このような地道な努力が必要。もちろん、とても楽しい作業です。冬は室内に籠もって工作ばかりしているので運動不足になりがちです。適度な運動は、躰が温まります。
 世界中の庭園鉄道愛好家が、いろいろなタイプの除雪機を作り、ネットや雑誌で紹介しています。45mmゲージでも同様で、除雪車を運行する人が沢山います。
 積雪が30cmでも、6分の1スケールの模型の世界では180cmに、20分の1スケールの世界なら6mの大雪になります。ちょうど良い積雪があると、大喜びで外へ飛び出していくようなことも……(写真5)。シーズンごとに違う楽しみがある、というのも、庭園鉄道の魅力です。

図1 ロータリィ式除雪車: 粉雪用。モータの回転を減速してロータを回す。危険なので注意すること。車両が重くないと転倒しやすい。また、前進させる強力な推進力が必要。

図2 ブラシロータ式除葉車: 線路上枯葉などの異物を除去をする。2cm程度の積雪なら除雪も可能。ブラシは自作。長持ちしないのが欠点。

図3 ブロア式除葉車: 市販のブロアを載せただけのもの。落葉にも雪にも対応。これが最も効率が良い。電動のものとエンジンのものが在籍。

図4 人力ラッセル車: 滅多に大雪は降らないが、積雪が30cm以上になったら、これしかない。いろいろな形状のプラスティック製スコップが市販されている。

写真1 大雪でも運行:1度だけだが、積雪1mの大雪があり、除雪に1週間かかった。それでも、雪の壁の中の走行は、格別な体験となった。

写真2 5インチゲージのリール除葉車:落葉だけなら走行可能だが、枯枝などが隠れている場合があるため、落葉を取り除く。ブラシロータ車は、45mmゲージにも在籍。

写真3 5インチゲージのブロア車:エアで落葉や枯枝を吹き飛ばす。粉雪であれば除雪も可能。

写真4 5インチゲージの除雪車:市販の電動除雪機を前部に取り付けたもの。積雪20cmくらいが限度。後ろから機関車が押す。

写真5 除雪後の運行風景:雪は2カ月はとけないので、長く楽しめる。

追伸 秋の落葉掃除:トラックで落葉を運んでいるところ。自作の電動トラック。人が乗って運転できる。