欠伸軽便鉄道通信38 ― 2024年12月15日 06:00
庭園外鉄道(連載第38回)
庭園鉄道には庭園が必要です。でも、庭園がない家に住んでいる人も、庭園外鉄道なら実現できます。それはつまり屋内鉄道です。鉄道が屋内にあることは不自然ですが、多くの鉄道模型は室内にあるのです。この点を不思議に思ったことはありませんか?
日本は雨が多く湿度が高いため、庭園鉄道には不向だといわれています。特に、サイズが小さい模型の場合、線路の走行状態を維持することが面倒になります。一方、室内で走らせる場合には、スペースの問題が大きくなるでしょう。このため、天井裏を利用したり、部屋の壁にそわせて高い位置にレールを据え付けるなどの工夫がされてきました(図1)。
さらにサイズが大きい乗用鉄道では、室内で楽しむという発想はかなり非常識かもしれません。しかし、既に説明したとおり、軽便鉄道(ナローゲージ)ならば、たとえば5インチゲージでもカーブの半径を1mくらいまで小さくでき、半径2mもあれば、連結した列車を無理なく運行できます。普段は少々邪魔になりますが、線路は敷きっぱなしでも、踏んで壊れるようなことはありません(躓かないように注意が必要ですが)。家の中で、鉄道に乗って運転するなんて、楽しそうですね。
これは、ショッピングモールなどにある子供向け鉄道に似ています。あの楽しさを大人になっても味わいたい人は、自宅を室内遊園地にすることをおすすめします。メリーゴーラウンドやコーヒーカップも少し小さくして(つまり模型で)作ると面白いでしょう。最近では、ジェットコースターを自作した人の話を幾つか聞きます。ディズニーランドの生みの親であるウォールト・ディズニーも、自宅に庭園鉄道を作っていました。そちらの方が遊園地よりさきだったということです。
理想的なのは、室内と室外(庭園や屋上)の線路を結び、列車が出入りできるようにすることでしょう(図2、3、写真1~3)。室内に線路を引き込めば、良い環境で車両の製作や修理、メンテナンスを行うことができます。車内に人が乗れる大型車両ならば、室内の駅で乗り込み、外へ出ていくこともできます。こうすれば雨天の運行も可能でしょう。また、室内で地下鉄のミニチュア鉄道を作るのも面白いかもしれません(図4)。
庭園鉄道は、いろいろなサイズの模型で楽しめますし、また場所も「庭園」だけに限らず楽しめる趣味だといえます。
写真1 ガレージに引き込まれた線路: ドアの下の隙間を塞ぐスポンジ付き木材を嵌め込んで、風や虫の侵入を防いでいる。写真はそれを取り外した状態。
写真2 ガレージの中にも引込み線がある: 蒸気機関車の下に入って修理をするピットもある。また、この右へぐるりと一周できるエンドレスが設置されている。
写真3 ガレージ内のエンドレス線: 中壁の周囲を巡っている。カーブの半径は2~3m。外に出られない日も室内で運転ができる。写真は1/6スケールの木曽森林ボールドウィン。
追伸 ヒノキクラフトのモ510を製作中: 昨年のデキ3と同じ方が製作されたキットに取り組んでいる。名鉄で走っていた有名な電車の1/22.5スケール。
図1 室内でも大型鉄道模型を楽しめる: 天井に近い高さで部屋の周囲に線路を設置すれば、生活の邪魔にならない。鴨居レイアウトと呼ばれる。
図2 典型的な庭園鉄道のスタイル:ガーデンハウス(シェド)の中に引込み線があり、普段はここに車両をストックする。45mmか32mmゲージの庭園鉄道に多いタイプ。
図3 生活に役立つ庭園鉄道?: 普段はエンドレスをぐるぐる回って運転をする。冬は毎日必要な薪(重いし大量に必要)を運ぶため線路を家の中まで引き込む例。
図4 地下鉄の乗用鉄道模型はいかが?: 図1とは逆の発想。床を1mほど高く二重に設置し、下部に5インチゲージで地下鉄を再現する。暗いからトンネルの雰囲気が出るのでは?
コメント
_ をかへま ― 2024年12月15日 06:19
_ マリマ ― 2024年12月15日 08:18
子どもの頃、デパートの屋上にあった列車に乗るが好きでした。
あの楽しさを家の中で再現するだなんて考えたことがありませんでした。
けれどこんなに色んな方法もあるのかぁと想像するだけでもとてもワクワクします。
あの楽しさを家の中で再現するだなんて考えたことがありませんでした。
けれどこんなに色んな方法もあるのかぁと想像するだけでもとてもワクワクします。
_ 香 ― 2024年12月15日 10:53
鴨居レイアウト初耳でした。
_ KATO Masaya ― 2024年12月15日 16:39
熱意と行動力と、あとは想像力が大切ですねw
_ レミング ― 2024年12月15日 17:53
確か、アメリカのディズニーランドに併設されているホテルが、図1のように鉄道模型を走らせていて驚いた覚えがあります。さすが本家です。
_ ネム ― 2024年12月15日 22:55
イラストが本当に可愛いですね。
鴨居レイアウト!は、猫の遊び場にもなりそうで
良いですね。
鴨居レイアウト!は、猫の遊び場にもなりそうで
良いですね。
_ kouno ― 2024年12月16日 11:28
スペース的にも、環境的にも、屋内鉄道は日本向きのスタイルなのですね。
室内と室外を結んだ理想のスタイル、扉部分の工夫がなかなかに手こずりそうです。
「駅」は屋内なのか、それとも屋外なのか…。
室内と室外を結んだ理想のスタイル、扉部分の工夫がなかなかに手こずりそうです。
「駅」は屋内なのか、それとも屋外なのか…。
_ ゆた ― 2024年12月18日 01:47
図のようなデジタル4コマ漫画を描いていただけたらと勝手に切望しています。
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ときいて、まっさきに、やっぱり、パノラマカーを思い浮かべましたが、
フォルムが違うので「モ510」を検索して
「元々美濃電気鉄道のセミボ510形」だというところまで知ったところです。