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欠伸軽便鉄道通信24 ― 2024年06月02日 06:00
自動運転について考える(連載第24回)
欠伸軽便鉄道は森の中にあります。一人で機関車を運転していると、ふと、ほかにも列車が走っていたら面白いだろうな、と想像します。ゲストに運転してもらう場合は、複数の列車を運行できますが、普段は自分一人しかいません。無人で列車を走らせる方法を考えてみました。
機関車の自動(無人)運転には、異常があったときに緊急停止、安全な速度を維持、障害物や他列車との衝突回避、などの機能が必要です。幸い、鉄道には自動車のように進行方向を操作するステアリングがないので、技術的にはそれほど難しくはありません。
上り下りの勾配があり、また直線とカーブでも抵抗が大きく違います。一定速度で走ることは予想以上に難しく、速度を測定するセンサがまず必要となります。いろいろ方法がありますが、車軸の回転を感知するセンサを取り付ければ良いでしょう。そして、このセンサの測定値に応じて、モータの電圧をコントロールします。このためには、ラズベリィパイなどのコンピュータを用いるのが一般的でしょう(図1、写真1)。
走行中に、前方に障害物が接近したとき、超音波センサなどで距離を感知し、モータを止めたり、ブレーキを作動させることも、コンピュータでプログラミングすれば実現できます(図2)。
このほかに、車体に加速度センサを装備すれば、脱線などの異常な衝撃や振動、車体の異常な傾きを感知したり、カーブなどで一定以上の遠心力が作用したりした場合に、モータを停止させることができます。
ただし、前方にカーブがあるから、あらかじめ速度を落とす、といった高等な操作は難しくなります。また、赤信号だったら停止する機能も、カメラが捉えた画像を処理する必要があり、ソフト的に難しくなるでしょう。
赤信号を検知するよりも、信号機の方からなんらかの電波や赤外線を発信し、それを受信する方が簡単です(図3)。線路上で電磁石を作動させ、列車の磁気センサが感知する方法も考えられます。カーブの手前にも、線路上に磁石を設置すれば、機関車のコンピュータの処理で、減速させることができます。
欠伸軽便鉄道では、まだ自動運転は実現していません。現在は、後続列車を運転しながら、先行列車をラジコンで操縦して楽しんでいます(写真2、3)。
写真1 ラズベリィパイ: ジャイロモノレールに搭載されたラズベリィパイ。自動運転を行うには、安価で小型のコンピュータを使う方法が最も簡単。
写真2 ラジコンのレールバス:5インチゲージの10号機。カメラを搭載し、映像も送信できる。ボディは木製で自作。
写真3 列車のすれ違い: 右の列車を運転しながら、左のレールバスをラジコンで操縦。こうすれば、一人でもすれ違いが楽しめるが、運転が非常に忙しくなる。
追伸1 大きいデキ3: 前回紹介したものよりサイズが大きい(16分の1スケールの)デキ3のキットを組み立てている。
追伸2 ボイラテスト: 数年まえに入手したボイラの水圧テストをした。5インチゲージの新しい蒸気機関車を現在製作中。
図1 定速運転を行うためには: 車輪の回転を感知するセンサを設置し、回転速度が低いときは動力モータのパワーを上げ、逆に回転が高すぎるときはパワーを下げたり、ブレーキをかけたりする。
図2 障害物を感知し減速あるいは停止するには: 前方の障害物までの距離を測定するセンサの情報をコンピュータに判断させ、危険な場合は減速あるいは停止させる。直線の線路であれば簡単だが、カーブの場合、前方の障害物の感知が近距離になるまで難しい。
図3 信号システムに連動した自動運転: 信号機から次の信号機までの信号区間に列車が進入した場合、入口の信号機を赤にする。区間から出れば、入口の信号を青にする。つまり、1信号区間に1列車だけしか走れないように制御する。赤信号の場合、その手前にいる列車へ信号を送って停止させるようにすれば、衝突事故を防ぐことができる。
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