欠伸軽便鉄道通信222024年05月05日 06:00

連結器について考えよう(連載第22回)

 「列車」も「Train」も、複数の車両がつながっている、という意味の言葉です。車両どうしをつなげる連結器には、さまざまな種類があります。ただロープやチェーンなどで結べば良いというものではありません。連結器の不具合が原因で、列車が脱線することも多く、とても重要なパーツなのです。
 連結器は、できるだけ簡単に連結と解放ができるように考えられています。また、連結したら決して外れないことも重要です。連結部には、引く力だけではなく、押す力もかかります。押し引きいずれの場合も、ある程度「あそび(余裕)」や弾力を持ち、ショックを和らげる性能も要求されます(小さな模型では、省略される場合が多いですが)。
 機関車が客車や貨車を引っ張っているとき、連結部には主に引く力が作用します。しかし、下り坂や機関車が減速する場合には、後続車両が機関車を押すことになり、連結部に押す力(圧縮力)が生じます。ロープや鎖でつなぐだけでは、車両どうしが衝突してしまいます。それを防ぐため、連結器とは別にバッファ(緩衝器)を装備するタイプも、実際の鉄道に多く存在しています(図1)。小型車両が多い庭園模型であれば、シンプルな連結法を採用してもかまいません(図2)。
 線路が直線の場合、連結部には線路に平行な力が加わり、特に問題は生じませんが、カーブでは、引っ張る力が進行方向からずれ、特に急カーブになると、車両を脱線させるような横方向の力が働きます。このとき、連結部は斜めになっているはずです。連結部が長いときと短いときで、力の角度が変化し、不要な横方向力の大きさに影響します。一般に、連結の棒材が長くなるほど角度が小さくなり、脱線しにくくなります(図3)。しかし、長くなると圧縮力を受けたときに、連結棒が座屈して曲がってしまいます。
 もうひとつの注意点は、連結器の高さを決めておくこと。自分の鉄道の規格として定め、新しい車両を作るときに、その規格に準じて連結器を設置します。連結器の高さがずれていると不具合が生じます(図4)。
 欠伸軽便で採用している連結器は、連結棒とピンによる簡単な機構のものです。実物のスケールで作った機関車には、実物と同じ連結器を付けますが(写真1~3)、運行するときは、ピンと連結棒で連結できるように工夫しています。

写真1 ナックル型自動連結器: 欠伸鉄道4号機(銚子電鉄デキ3)の連結器。自連と呼ばれ、ぶつかると自動的に連結する仕組み。

写真2 朝顔型連結器: 欠伸鉄道19号機(頸城鉄道DB81)の連結器。ピンによるリンクとバッファを兼ねた形状。

写真3 高さを選べる連結器: 欠伸軽便28号機(ホィットコム)の連結器。牽引車両の連結器の高さに合ったスリットに連結棒を差し入れる、上からピンで止める。

追伸 ラジコンヘリを庭園内の芝生でホバリング: どちらも、AS350エキュレーユのスケール機。いずれも、電動なので静かに飛行する。

図1 引きと押しを分けた場合の連結法: ヨーロッパに多いタイプ。中央をフックやリンクなどでつなぎ、左右のバッファで接近しすぎを防ぐ。リンクの長さを調節するタイプもある。
図2 庭園鉄道でよく採用されるシンプルな連結法: 連結棒は金属板の両側に穴があいたもの。3mm厚程度の鉄板では、押しの力がかかったときに曲がってしまう。
図3 S字カーブでの連結棒: 単純なカーブとS字カーブでは条件が異なるが、多くの場合、連結棒が長い方が脱線しにくい。
図4 連結器の高さが違うと……: 後続車両の抵抗が大きいときに、車輪が浮き上がって脱線する。連結棒の形状を変えても解決しない。連結棒を長くすると緩和される。

コメント

_ をかへま ― 2024年05月05日 06:34

土曜日にEテレで放映しているアニメのトーマスで、
連結とカーブ、も関係するような「問題」が発生することが
ありました(なんとかマウンテンを回って降りてくるような回かと
記憶しています)ので、今後も注意して観たいと思います。

_ 香 ― 2024年05月05日 09:56

経路が複雑になっていくほど重要な部分ですね。

_ KATO Masaya ― 2024年05月05日 15:03

列車の連結数を考えると、連結器の優秀さが何となくわかりますw

あまり考えたことありませんでしたが、とても大切なものですね!

_ ネム ― 2024年05月05日 20:15

高さを選べる連結器が素晴らしいと思いました。
上からピンで止めるというところは、何か他の
ことにも応用がききそうですね。

_ kouno ― 2024年05月07日 14:09

関節のある(?)乗り物だと、連結部は非常に重要なのですね。
大型トラックの連結部とも また違うようで、為になります。

_ くつしたねこ ― 2024年05月07日 23:10

カーブの多い山間部の線路は連結器の重要度が増しそうですね。
連結器と線路の組み合わせによっては、車両の乗り心地にも影響受けるのかな、と思いました。

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