欠伸軽便鉄道通信 72023年10月08日 06:00

エンジンで動く機関車(連載第7回)

 「機関車」は英語で「Engine」ともいいます。ですから、「エンジンで走る機関車」は、ちょっと変な表現にもなります。日本では、「エンジン」は発動機のことで、内燃機関を示します。燃料は、ガソリンや軽油など、エンジンによって違います。
 実機のディーゼル機関車は、ディーゼルエンジンで走ります。でも、庭園鉄道で使えるエンジンは小型のものに限られるため、ガソリンエンジンが一般的です。
 最も安価で手頃なエンジンは、草刈り機に使われているサイズのガソリンエンジンです。欠伸軽便にも、何台かガソリンエンジンで走る機関車があります。
 モータとエンジンの一番の違いは、排気ガスが出ること。また、エンジンはスイッチを入れても回り始めることができません。自動車は、スイッチでエンジンがかかりますが、これはモータがエンジンを始動しているからです。
 機関車が停車して、動輪が止まっているときでも、エンジンは回っています(アイドリングという)。このとき、動輪とエンジンは、切り離されていることになります。回転を伝えないよう、途中で切り離す装置(クラッチ)が必要です。模型は、草刈り機などと同じく、エンジンの回転を速くなると、遠心力でシューが接触して回転を伝える、遠心クラッチが装備されています。回転が下れば自然に切り離されます。
 内燃機関のエンジンは逆転ができません。機関車はバックをする必要があるので、ギアを切り換えるメカニズムが必要です。自動車などでもまったく同じです。自動車は、前進するだけでも、減速比を変えるためギアを切り換えています。
 もう一つ、エンジンの力で走らせる方法があります。それは、エンジンで発電して、その電気を使ってモータを回す方法です。この場合、駆動部は電気機関車と同じですし、クラッチも逆転させるギアチェンジも必要ありません。
 欠伸軽便には、エンジンで発電してモータを駆動する機関車が1台だけあります。バッテリィを充電しておかなくても、ガソリンがタンクに入っていれば、いつでも出動できます。鉄道沿線で電動工具を使いたいとき、この機関車で近くまで行けば、コンセントがあるのと同じで、大変便利です。
 ところで、電気機関車が使う電気は、火力発電所ならば、エンジンで発電機を回しているのですから、その意味では、ディーゼル機関車といえるかもしれません。

図1:遠心クラッチの機構の一例
回転が上がると、シューが遠心力で外側へ押しつけられ、外周に回転が伝わる仕組み。

図2:ギアチェンジで動輪を逆転させる仕組みの一例
どちらのギアにも接しなければ、ニュートラル(空転)となる。

図3:ディーゼル機関車とディーゼルカー
電車に対応する気動車をディーゼルカーと呼ぶ。

写真1:草刈り機の2サイクルエンジンを使った機関車(5号機)
エンジン音が甲高いので、空き缶を利用したマフラを追加して消音した。

写真2:4サイクルエンジンを搭載した5分の1スケールのディーゼル機関車(8号機)。

写真3:4サイクルエンジンの発電機を、モータ駆動のシャーシに載せた機関車(34号機)。

追伸:完成したばかりの36号機
ディーゼル機関車の形をしているが、実際にはモータとバッテリィで走行。