欠伸軽便鉄道通信 52023年09月10日 05:55

電気機関車は電車ではない(連載第5回)

 鉄道といえば、ほとんどの人が「電車」と呼ぶことでしょう。「電気」で走る車両ですから、モータで車輪を駆動します。モータに必要な電気は架線と線路から取ります。
 電化されていない鉄道もまだ多く、架線がないことで区別ができます。そこでは電車が走ることはできません。代わって、ディーゼルエンジンで走るディーゼルカーが活躍しています。
 さて、庭園鉄道は「電化」されているのでしょうか? 架線を備えて、そこから電気を取って走らせる庭園鉄道も少数ですがあります。模型は本物よりも小さいわけですから、相対的に乗っている人間が大きく、架線があると邪魔になります。
 欠伸軽便鉄道の車両は、高さが70cmくらい。運転する人間は、座って乗っても1m以上の高さになり、トンネルや陸橋などはそれよりも高くしておかないと、頭をぶつけてしまいます。架線を張るなら、頭より高い位置にしなければなりません。また、全線を電化するためには、線路に沿って架線柱を立てる必要があります(図2)。
 そこで、庭園鉄道では、バッテリィを載せた電気機関車が一般的です。バッテリィは、自動車用の12Vのものを利用します。1日遊んだら、夜の間に家のコンセントから充電して、次の出番に備えます。
 ところで、電気機関車と電車は同じものでしょうか? 鉄道に詳しくない人は、鉄道の線路を走っている車両は全部「電車」だと思っているかもしれません。
 電気機関車には、客は乗れません。非動力車(貨車や客車)を牽引する車両を機関車と呼びます。電気機関車が牽引する列車は、電車ではありません。
 電車は、すべての車両に客が乗れます。新幹線も山手線も電車です。長い列車を先頭の機関車が引いているのではなく、モータで駆動する動力車が分散しています(図1)。日本は、電車王国といって良いほど、電車が広く普及していますが、外国では、むしろ珍しい存在です。
 欠伸軽便鉄道には、20台ほどの電気機関車が在籍していますが、電車は1台しかありません。
 モータで走る電動車は、メカニズム的にシンプルですが、これは、モータやバッテリィなどの部品が製品化されているからです(図3)。
 欠伸軽便では、タミヤのギアボックスを利用した小さな電気機関車を何台も作りました。人が乗るサイズでは、車輪やギア(あるいはチェーン)などが金属製で本格的になり、最低でも1万円以上の部品代が必要になります。

図1:電気機関車は電車ではない
動力車に客が乗るタイプが「電車」と呼ばれる。電気機関車には客は乗れないし、客車には動力がないので、電車ではない。先頭車両に客が乗れるかどうかで区別できる。

図2:庭園鉄道には架線がない
架線から集電する場合は、人が車両の内部に乗り込む必要があり、もう少し大きいサイズのボディが必要になる。車両が大きいと、運転するときに前が見えない。

図3:電気機関車の仕組み
モータからベルトや歯車で伝動するときに、減速して力(トルク)を大きくするのが一般的。

写真1:電気機関車内部
見えないが、モータは台車に2基あり、チェーンで伝動。バッテリィは車内に2基。ボディは上から被せてあるだけ。運転士は熊のぬいぐるみ。

写真2:電気機関車
電気機関車の33号機。8つの車輪(4軸)をすべて駆動するタイプ。ほぼ、ベニヤ板とボール紙でできている。モータが複数あると、走行時の音が本物らしくなる。
追伸1:太陽光発電で走る車両
タミヤの太陽光パネルと省エネモータのギアボックスを利用した。車体はお菓子の入れ物だったものを利用。

追伸2:航空部の活動
この冬は航空部が活発に活動。隣の草原でラジコン飛行機を毎日飛ばした。写真のものは、すべて電動機。