欠伸軽便鉄道通信252024年06月16日 06:00

ポイントとポイントマシン(連載第25回)

 線路は一本道ではありません。進行方向を切り換える分岐が必要です。日本では、これを「ポイント」と呼ぶことが多いようです(英語では「スイッチ」や「ターンアウト」などが一般的です)。
 ポイントには、さまざまな種類がありますが、図1のようなタイプが一般的です(変わったタイプとして、図2、3なども)。小さな鉄道模型でも、実物と同じ機能のポイントが製品として販売されています。
 実物の鉄道では、車両の運転士がポイントを切り換えるのではなく、駅や付属施設の人(あるいは機械)が、列車の目的地に合わせて操作をします。でも、庭園鉄道では、運転士が操作する方が便利でしょう。
 進路を切り換えるためにレールの一部が動きます。この可動部は、通過する車両の重量を支えるだけの強度が必要です。また、屋外環境で風雨に晒されているわけですから、日頃の点検が必要になります。
 庭園鉄道でも、実物とまったく同条件ですが、実物より小さい分、雨で流れる土や、冬の凍結などの影響を大きく受けます。いつも確実に機能するためには、短いインターバルで点検(ときには分解・整備)が必要になります。むやみにポイントの数が多いと管理が大変になるので、できればポイントの数は最小限になるように路線を計画しましょう。
 ポイントを切り換える方法は、手動と自動の2種類がありますが、スプリングなどで両端にロックする機構が必要です(図4)。自動ポイントマシンは、ラジコンのサーボを使ったり、空気圧のピストンを使う方法が多いようです。この場合、ポイントの近くに押しボタンなどのスイッチを設置し、近づいた列車の運転手がそれを押すか、あるいはラジコンで切り換えるか、のいずれかになります(図5)。また、ポイント切替所を設置し、そこで集中管理する方法もあります(専用のスタッフが必要になるので、個人の庭園鉄道にはむかないかもしれません)。
 欠伸軽便にも、10基ほどのポイントがあります(写真1~3)。当初は、すべてのポイントをラジコンで操作できるように計画しました(写真4)。一人で楽しむために、列車を運転しながらポイント切替えがしたかったからです。
 しかし、メンテナンスや充電が面倒なので、現在は手動で切り換えるタイプに順次変更しています。

写真1 本線の電動ポイント: ポイントは完成品もキットも各ゲージで商品化されている(ただ、非常に高価)。欠伸軽便では、既製品のポイントが多いが、一部は自作している(レールの切断と溶接が必要)。
写真2 本線の手動ポイント: スプリングでロックするタイプ。雨で土が可動部に入って動かなくなるのを防ぐため、その部分は下にアクリル板を敷いている。
写真3 ガレージ内の簡素なポイント: 直線のレールだけで構成されるタイプのポイント。2軸の車両であれば低速で通過できる。実物の鉄道にも存在するが、工場のトロッコなどに多い。
写真4 無線操作のポイントマシンとリモコン: (写真上の)ポイントマシンは既製品。ラジコンのサーボが動力として利用されている。(写真下の)リモコンは、多数のポイントマシンを切り換えることができる自作品。
追伸1 庭園内にガゼボ(東屋)を建設中: 高さは3.3m。一人だけですべての作業を行なっているため、工事はゆっくり。完成は春頃。

図1 一般的なポイント: 可動部はトングと呼ばれ、先が尖っている。2つのトングを横から押し引きして動かす。
図2 鈍端ポイント: トングがなく、レールの先が尖っていないので、鈍端と呼ばれる。分岐手前のレールが左右に動く。工業鉄道などで使用される。庭園鉄道では自作しやすいタイプ。
図3 簡素なポイント: 直線レールだけで構成されるが、可動部のレールが倒れないような構造が必要。低速でしか通過できない。自作するならこのタイプが簡単。
図4 ポイント切換器: ポイントを切り換える装置には、可動部をレールに押しつけるロック機構が必要。ウェイトかスプリングを用いる。
図5 ポイントマシンのスイッチの配置: 運転者が車上からポイントを切り換えるために、線路脇にスイッチを設置する。電動のポイントマシンは、複数を1つのスイッチで動かせる点が利点。