欠伸軽便鉄道通信 8 ― 2023年10月22日 06:00
鉄道沿線の建物を作る(連載第8回)
機関車の話が続きましたので、今回は小休止とし、建築物についてお話しします。
鉄道模型のレイアウトでは、風景を「シーナリィ」、構造物を「ストラクチャ」と呼びます。庭園鉄道の場合、シーナリィは庭園の自然そのものであり、作る必要はありません。ストラクチャとしては、鉄道に関連するトンネル、橋、信号機などが中心ですが、それ以外にも沿線に建物があると雰囲気が出ます。庭園鉄道に乗る人(主に僕ですが)は、列車からそれらを眺めて楽しめます。既製品はありません。自分で自由に作りましょう。
今回は、屋外に置くミニチュアの建物の作り方を説明します。動かないから簡単だといえば簡単です。ただし、「耐久性」が必要です。屋外に置きっ放しになるので、風雨に耐えて長持ちするものでなければなりません。
たとえば、ベニヤ板で作って、ペンキを塗っただけのものでは、数年でぼろぼろになります。材料が劣化する原因は、主に水と熱と紫外線ですが、ほかにも虫害があります。また、強風による損害も考えられます。
いろいろ試した結果から、モルタルで作ったものが一番長持ちすることがわかりました。重量があるので、風で飛ばされることもありません。その簡単な作り方を、図1〜図3に示しておきます。
モルタルというのは、セメントと砂と水を混ぜたものです(砂利が加われば、コンクリートです)。セメントは水と接すると化学反応によって硬化します。水分が蒸発して固まるのではありません。ホームセンタで、セメントと砂を混ぜたパックが購入できます。これを買ってくれば、あとは水を足すだけ。少しずつ水を加えながら、スコップで練ります。けっして水を入れすぎないように注意しましょう。水が多いほど、固まったときモルタルは弱くなります。
モルタルだけでは、ひび割れが発生しやすいので、針金を埋め込んで補強します。モルタルはアルカリ性なので、モルタル内部では針金は錆びません。
上を向いた面にモルタルをのせ、軟らかいうちにヘラなどで形を整えます。そして、表面に筋をつけるなど、自由に模様を作りましょう。いきなり本番ではなく、練習をしておいた方が良いかもしれません。
1日に上面1面だけとし、別の日に向きを変え、別の面を上にして同じ作業をします。ほぼ1日で硬化しますが、その後しばらくは、乾燥させないように注意します。水をかけて濡らした状態にしておくと良いでしょう。
数日経ったら、アルカリに耐性のあるコンクリート用塗料を塗って仕上げます。
写真1:消防署
ドアの部分は木製で、開くことができる。壁と屋根はすべてモルタル。重くなるので、分割できるように作った。
写真2:住宅1
壁はペンキで着色せず、モルタルのまま。2階建てで、煙突がある。屋根は取り外せる。
写真3:住宅2
レリーフのように前半分しかない。今は大木の根元に置かれている。野鳥が窓から中に入るのを見かける。
写真4:工場
大小2棟からなる。山の上に設置され、近くにあるロープウェイを動かすためのバッテリィが中に収まっている。
追伸
採石場への線路の木造支柱が完成した。工業用機関車やブルドーザなどが活躍する場所だ。
図1:モルタルを練るときの注意事項
図2:建物の壁の作り方
最終的にはモルタルが構造材となるので、ベニヤ板が腐っても大丈夫。釘や針金は、モルタル中に埋まるような高さにする(モルタルの厚さは1.5〜2cmくらいが適当)。
図3:壁の断面図
モルタルを塗る面を上にして、1日に1面ずつモルタルを塗る。ヘラを使って、レンガやブロックの模様を作る(粘土細工の要領で)。
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